2024年4月30日火曜日

2024年4月20日「宍塚に隣接する吉瀬の里山探訪」及川ひろみさん・ 阿部きよ子さん(当会)

 

【春の吉瀬を歩く】

案内人含めて6人で、フォンテーヌの森付近と鹿島神社を歩きました。

常磐高速道建設以前、宍塚の里山と一続きだった里山です。キャンプ場の南に天王池にむかう水路があります。霞ヶ浦の水が運ばれてくるU字溝から広い水域になっていくあたりは、柳の生える湿地を臨む美しい景観で、水の中を覗くと魚影もあり、ウグイスやヒクイナの声が聞こえてきました。



30年前くらいまでは、池の北側の車道はなく、私は細い道を歩いて天王池に釣りに通っていました。水面が広がり、猟期以外は鴨、カイツブリがよく見られました。今は、ヨシ、柳が茂り、開けた水面が僅かになってしまいました。

天王池の北側には、針葉樹の林、広葉樹の林にかこまれた谷津があります。そこで、サシバのカップルをみることができました。かつての谷津田の多くが休耕地となりましたが、台地の裾を西に曲がると土の水路が残り、田起こしされた田がありました。




 八坂神社で小休憩しました。上の室の神社です。八坂神社と県道の間は、以前はおもに畑でしたが、新しい住宅がふえました。天王池の方に戻る台地の上に、近年、ツリーハウス、自転車のコースなどが作られましたが、今年、東京の業者がグランピングの施設を作る計画だと聞いています。駐車場も作るであろうことも考えると、クサイチゴやジロボウエンゴサクが点々とさくこの台地の自然環境が激変することが懸念されます。


 車で鹿島神社に移動しました。土浦学園線のすぐ南側の台地の縁にある神社です。鳥居の先はおもに杉の林ですが、スダジイ、シラカシ、アラカシの古木があり、広い社域には社殿の他、石仏群、古墳があります。石仏の多くには江戸時代の年号が読み取れます。青面金剛、「おはぐろ様」(羽黒山信仰と関係か?)などのほか、子どもを抱いた石仏など、一つ一つみると、なかなか楽しいものです。そして、台地の北西の古墳のてっぺんに、古墳の石棺由来かと思われる石材を祠のようにくみたてた中に、一見モアイ像のような「鼻の大きな大日さま」がありました。江戸時代の初めごろ、羽黒山神社から来た人たちによってつくば・土浦地区のあちこちに建てられたものの一つで、宍塚の般若寺にある大日さまと似ていますが、こちらは小さ目です。この石仏の説明板も建てられていました。この鹿島神社では石仏のいずれにも、2つの竹の筒を麻紐で結んだものが懸けられています。花を供える筒と思われます。吉瀬の氏子の皆さんが、この神社をとても大切に守ってこられたことが感じられました。



 定期的な手入れのおかげで、林床の植生は豊かで、ちょうど、ジュウニヒトエがあちこちに咲いていましたし、7月半ばになれば、ヤマユリの園となることでしょう。

 



 吉瀬には斜面を利用した立派な庭のある民家があったり、台地の縁が急な崖になっているなど、宍塚にはみられない景観があります。

 宍塚だけでなく吉瀬まで拡大してみると、この地域は地形的にも動植物の面でも本当に多様性に富む里山であることを確認できたと思います。             


阿部きよ子








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