2025年3月25日火曜日

1月18日 「段ボールコンポストでSDGs」田上公恵さん

 
今日は飛び入りでの参加、途中退室となりましたが、参加してよかったです!
田上先生や宍塚の先生方ともお話させていただき、大変貴重なひと時になりました。

実は、1 年程前につくば市配布の段ボールコンポストを受け取りに行ったまま、設置場所に悩み放置していた所でした。

匂いや虫カビの発生等への不安が今日のお話で払しょくされましたので、早速実践していきたいと思います。

地球温暖化による気温上昇や気候の変化による生態系への影響、人間の生活や子どもを取り巻く環境の変化、そこに大人も戸惑い対応しきれていない現状があると日々感じております。

家庭や教育現場でも、熱中症対策などの予防策がやや先行しているように思いますが、やはり同時に CO2削減への積極的参加が必要で、今一度官民、地域一体となり進めてく必要があると今日の講義を聴いて改めて感じました。

宍塚の生態系への変化を感じてこられている先生方の知見は大変貴重で、身近な生き物、植物をテーマにしたお話は我々親世代や子どもにもその危機感など入りやすいように感じます。
生ごみをたい肥にするごみ削減活動は、里山を守る宍塚に集まる子どもや大人だからこそ普及しやすい活動のひとつかもしれません。

先生方の貴重な知見、中年層の力、若者の力、子どもの力の点や線を結び総力で環境問題に参加していくことが必要で、宍塚大池を取り囲む地区の地域から学校とも協力していけたらいいですね。

昔から生ごみのたい肥化は田畑では実施されていると思いますが、これからは「家庭用コンポスト」の時代ですね‼

生物を身近に感じやすい年代(小学校)や環境問題を身近に感じ考察できる年代(中学校)への働きかけに尽力され、高校では研究課題として、実践レベルの課題を研究されている田上先生のチームの取り組みは大変意義深いと感じました。
つくばスタイル科の授業を受け環境問題について授業を受けてきた娘や、これから受ける息子と一緒に「段ボールコンポスト」やってみたいと思います。
本日はありがとうございました。

 梶野裕子







12月21日 「里山保全とつながる霞ヶ浦の水環境と生物多様性」沼澤篤さん茨城県環境アドバイザー、霞ヶ浦市民協会研究顧問

 
12 月 21 日に宍塚公民館(Zoom 併用)で土曜談話会を開催しました。

茨城県の環境アドバイザーから講師の派遣をいただきました。
講師の沼澤さんは、霞ケ浦の生き字引のような方で、その保全する熱い思いがにじみでていました。
霞ケ浦の歴史、流域の自然生物、水質など幅広いお話がありました。
宍塚の里山は、霞ヶ浦の流域であり、霞ケ浦の一部です。宍塚での活動が、直接霞ケ浦の保全につながっている事を改めて認識しました。
これを機に、霞ケ浦の事をもっと学びたいと思いましたが、霞ケ浦の全体像を知るための 1 冊の本はまだ、出版されていないとのことでした。
ぜひとも沼澤さんが中心となって、とりまとめがされることを期待しています。霞ケ浦の保全には、とにかく多くの方々が関心を持つことであり、その沼澤さんたちの力強さに、未来を感じることができました。 森本信生


要旨(配布資料)


霞ヶ浦流域から河川を通じて湖水に流入する負荷(富栄養化成分)の割合は、生活排水、農業排水、畜産排水、工場・事業場排水などが多い。

魚類養殖は湖内発生の負荷であるが減少している。

森林からの負荷はゼロではないが、少ない。森林は湖水の水質保全に貢献する。
霞ヶ浦流域の森林率は約18%(日本列島全体及び琵琶湖流域の森林率は約65%)であり、東京都や大阪府並みに低い。

霞ヶ浦周辺は景観的には緑が多い印象だが、農地、果樹園の土地利用が多い。
原生林が残る筑波山麓の渓流は、集落排水や石材産業の影響を受けない地区では清流であり、桜川や恋瀬川の水質に貢献している。

一方、土浦、石岡などの市街地の河川、さらに鉾田周辺などの、畜産と野菜・果物栽培が盛んな地域を流れる河川からの負荷は大きい。

里山の平地林は面積としては大きくないが、土壌流出や斜面崩壊を防ぎ、谷津田に農業用水を供給し、河川水となって霞ヶ浦の水源になっている。
平地林面積は、高度経済成長時代(筑波研究学園都市開発を含む)は、ゴルフ場などのリゾート開発、住宅団地・工業団地誘致で激減した。
それは、霞ヶ浦の水質悪化が顕著に進行した時期に一致している。
平地林は、樹木自体と落葉層を含む森林土壌によって「緑のダム」として水源涵養機能を果たす。
平地林から流れ出る清流は溜池に貯められ、下流の農地に少しずつ供給された。
溜池と霞ヶ浦に流入する河川は繋がっており、水生生物の移動回廊である。
ヨシノボリやマシジミの分布は典型例である。カゲロウ・トビケラ類、ユスリカ類、トンボ類などの水生昆虫も含まれる。サギ類、カモ類、ウグイス類、猛禽類など、河川を通じて、里山と霞ヶ浦の間を移動する鳥類も多い。
また、ヤナギ、ハンノキ、エノキ、オニグルミなどの木本類、河川敷の草本類は、河川の水流と鳥類などによる種子の運搬・撒布で分布を拡げる。

里山と霞ヶ浦を繋ぐ小流・河川は動植物の移動に貢献し、生物多様性に寄与している。
霞ヶ浦流域における平地林保全の意義は大きい。

しかし、政治家・行政・企業家・一般住民の意識は薄い。
平地林(里山)は、住民が、そこに生息する生き物にふれあい、自然に親しむことで生物多様性の意義に気づき、環境教育の場になると同時に、水の流れを通して水田、河川、霞ヶ浦との、水文学的なつながりを実感する貴重な場所となっている。







11月16日 「小山市の里山保全」

 小山市の平地林保全

土曜談話会 8 月に、栃木県小山市長自らが全日程見学の案内という「すごい」計画でしたが、台風接近のため延期し、今回の訪問となりました。

市長の浅野正富氏は、弁護士で NPO 法人ラムサール・ネットワーク日本事務局長を歴任した方です。2021 年に初当選し 2024 年 7 月再選を果たしました。当会と 30 年以上協力をいただいており、百年亭の寄付の際は、応援メッセージをくださりました。

10 月 6 日には、大阪で活動する「NPO 法人里山倶楽部」の寺川裕子さんと、里山保全についての意見交換会も行っています。
環境問題で活躍した経験がある市長が、環境保全をどのように推進し、成果をあげているのかが全国的に注目されていると思います。

今回は、総合政策部ゼロカーボン・ネイチャーポジティブ推進課の方の案内をいただきました。
地球規模の人類の存続にかかわる環境問題の解決を前面に掲げたこの組織名を見るだけで、小山市の環境問題への取り組みを感じます。
その生物多様性保全、平地林保全の目玉となる雑木林等の見学を 7 人参加で 11 月 16 日に実施しました。


【コウノトリ交流館】
コウノトリは里山に囲まれた河川・池沼・湿原などに生息していましたが、日本では、1971 年に、野外では絶滅しました。2005 年に再導入が兵庫県ではじまり、千葉県野田市でも放鳥が行われています。
渡良瀬遊水地は広い湿地で、コウノトリの生息地として期待できることから、2015~20年に、実物大(1.1m)のコウノトリの模型(デゴイ)を渡良瀬遊水地に配置し、大木の樹上に巣を作る性質があることから、人工の巣台も設置しました。これが功を奏し、2020 年以来繁殖しています。今年も3羽の巣立ちが確認されています。
渡良瀬遊水地に関する情報発信やエコツーリズムの推進、地域活性化のために 2020 年に開館したのが、渡良瀬遊水地コウノトリ交流館です。古民家を改修した展示スペースや事務所、作業スペースの 3 つの建物からなっており、年間 1 万人の来訪者があるとのことです。


【渡良瀬遊水地】
とにかく広い。関東地方4県にまたがる本州以南最大の湿地で、有名な足尾鉱毒事件の現場です。今は首都圏を洪水から守る遊水地としての機能を担っています。2012 年にラムサール条約「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」の登録地になっています。
小山市は遊水地を担当する専門の部署を設置し、市民参加の「ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦」が 10 年ほど前から行われており、9 月は 450 人の参加があっ
たそうです。遊水地を見渡す堤防に着くと、間もなく、コウノトリが(5 羽?)歓迎の舞を披露してくれました。
広い湿地に悠々と群れで飛び回るコウノトリはのびのびとしており、いつもデカイと感じるアオサギさえ小さく見えました。


【しらさぎ館南側平地林】
河岸段丘の傾斜地で、脇には小川があります。市外に居住する地権者が、自己での管理が難しいため、市への寄付の申し出があった場所で、平地林の保全のモデルケースとして、現在計画を練っています。
孟宗竹がはびこっていますが、筍を取りながら、管理をすれば、生き物が豊富な森に生まれ変われそう。宍塚の自然と歴史の会の竹林管理の経験を活かしたいと、市の担当の方がおっしゃっていました。


安房(あわ)神社西側平地林】
安房神社の鎮守の森に隣接した雑木林で、林床の植生がよく残っており、水田跡地の湿地もあり、これらを組み合わせると、魅力的な保全場所になりそうです。


【東島田ふるさとの森】
小山市所有の土地で、広さは 2.7ha。保安林に指定され、2023 年後期に自然共生サイトの登録がされています。
西側に一級河川の思川が流れており、クヌギ・コナラなど雑木林で、下草刈などの管理がよくされており、見通しの良い雑木林です。


【憩いの森鉢形】
2023 年後期に自然共生サイトに登録、広さは2ha。農家の母屋がありその周りを屋敷林が取り囲んでいます。
ケヤキが多い雑木林、祠や竹藪などもあり、多様な植生が見られます。地域振興を目指す農家による養鶏が行われ、養蜂などが試みられています。


【国指定史跡寺野東遺跡・寺東遺跡資料館】
工業団地の造成に伴い発掘調査された遺跡で、旧石器時代の石器、縄文時代の大規模な集落跡、6 世紀から 7 世紀に築造された古墳、奈良・平安時代の集落跡などが確認されています。環状盛土遺構や水場遺構、石敷台状遺構、さらには出土した種や花粉をもとに「縄文の森」も復元され、寺東遺跡資料館が併設され貴重な資料が展示されています。


小山市は、地球規模の保全を掲げつつ、地域の湿地や平地林の保全の取り組みを進めていること、市の職員の方の熱意を感じました。
これからも、小山市との情報交換を緊密にし、保全を進めていこうと思いました。

 森本信生





2025年3月21日金曜日

10月19日 「この里山を将来に残すにはー土浦市総合計画、土浦市環境基本計画を読むー」 阿部きよ子さん


この会は多様な活動をしていますが、35 年間、鬼籍に入られた方を含めて、会員たちが、無償奉仕で力をだしあってきたのは、「開発」で破壊されかねないこの里山を、なんとか将来に残したい、という強い願いがあったからです。


折に触れ、原点に戻ってみる必要があると思い、今回、市の情報室にある資料、1989 年会発足時からの会報などを読み返しました。


1985 年、国は東京都市圏広域連携拠点となる業務核都市」6 か所を設定しましたがそのうち 1 か所が土浦市つくば市にまたがる地域でした。

土浦市は、1986 年第 4 次土浦市総合計画で宍塚大池周辺200ha に大学、民間研究所、ホテル、コンベンション施設、公園などをもつ「新業務拠点」形成を掲げます。

宍塚の自然と歴史の会は 1989 年に、貴重な里山が破壊されることに危機感をいだいた市民、研究者などによって結成されました。

そして、県、土浦市、つくば市に、宍塚・天王池の森を保全する要望を出し、1992 年には県に大池一帯地区の県立公園化を陳情しました。

一方、研究者や、地元の方々の協力を得て自然、歴史両面での調査を進め、1995年には「宍塚大池地域自然環境調査報告書」、「聞き書き里山の暮らし」を刊行しました。


1992 年からオニバスサミット、里山サミット、サシバサミットと 3 年連続で開催して、宍塚の里山の価値を全国的視野で深く学びつつ、広める活動を進めました。

市は地権者に「区画整理事業として開発」する同意を取り付けるとともに、土地の先買いを進めました。バブル崩壊により国の計画から宍塚地区は外れますが、第 5 次土浦市基本計画(1996 年~)では、宍塚地区区画整理事業 147ha が明記されます。


1998 年には「厳しい経済状況から開発環境にない(市長談)」となったのですが、第 6~第9次(2022 年から)まで、いずれの土浦市総合計画でも「開発」計画は残り、第 9 次総合計画の構想図では「工業・流通・業務拠点」と「水・緑・憩いの拠点」の 2 色で色分けされています。


一方、2000 年に制定された土浦市環境基本条例に基づく土浦市環境基本計画では、環境の現状と課題のところで、「宍塚大池周辺」の自然に触れ、主要施策には「山林と里山」の項で「筑波山麓、平地林や谷津田など里山の自然の保全と生態系の保護」とあります。


2022 年からの第 3 期土浦市環境基本計画は「人と自然が共生する持続可能な水郷のまち」をうたい、「豊かな生物多様性を支える里山の風景を保全する必要がある」として宍塚大池周辺の豊かな自然にふれています。


2026 年までのリーディグプロジェクト基本目標2「多様な生物と共生できるまちを目指して」では「霞ヶ浦や里山などにみられる多様な生態系や貴重な種の保護、棲息環境の維持等に努めます」とあります。

資料編―現状では、里山・山林の自然の 22 行の記述のうち 15 行を使って、「市内の代表的な里山」として宍塚大池周辺の里山について述べています。


この 9 月、宍塚地区にスマートインターチェンジ設置が決定しました。第 9 次総合計画では土浦学園線の北側「スマート IC 周辺地区」が工業・流通・業務拠点と位置付けられており、周辺環境の変化が懸念されます。


談話会で出された意見:

・市が保全する方針を出すことが肝心。

・土浦市の学校で「泳げる霞ヶ浦」ということは教わったけれど、里山のことは学ばなかった。

・宍塚の里山の存在、貴重さを知らない市民が多い状況を変えていくのに、愛されるシンボルはないだろうか。

・子どもたちが描いた環境ポスターの多くが「ごみ」をテーマにしたことなどから、自然への関心が薄らいでいるのではないか。

などの発言があり、スマート IC についてもその位置、影響が話題となりました。


環境基本計画では市のとるべき「行動」が列挙されており、その中には生物多様性地域戦略策定もあります。

実効性のある戦略作りに協力するとともに、保全活動、観察会などで市と連携することもでき

るのではないかと思われます。



談話会後、国の業務核都市構想以前、市は宍塚の里山をどう捉えていたのか知りたいと、土浦市と都市環境計画研究所の名前で 1980 年 3 月に出された「緑のマスタープラン策定調査報告書」を閲覧しました。

そこでは、宍塚「大池周辺は植生の自然度が高く、貴重な動植物が生息している地域で、保全の必要がある」と書かれ、風致地区指定の必要の優先順位として宍塚・大岩田、常名・沖宿 合計 558.7ha が示され、構想図に「大池風致歴史公園」が大きな〇で示されていました。

この「調査報告書」は埋もれ、「緑のマスタープラン」は策定されませんでした。しかし、保全策が検討され、風致地区として土地利用に規制をかける策が考えられたことがわかりました。


1970 年代以後のつくば市の変貌を目の当たりにしての「開発」熱で、土浦市は真に誇るべき宝=「豊かな自然と歴史遺産」から目をそらしてきたように思えます。

今また、つくば市の人口増、TX沿線の変貌に惑わされて、大切な宝をさらに失うことにならないよう、私たちの会も初心を忘れず、活動していきたいものです。


阿部きよ子








9月24日 「宍塚大池由来の水草の系統保存」嶺田拓也さん

 大池の貴重な水草を絶やさないために

宍塚の里山の中心に位置する大池にはさまざまな生物が生息しています。
現在ではヒシや外来種のキショウブが目立ちますが、かつてはハスやクロモなど水草が豊富な池でした。
絶滅危惧種に指定されるオニバス(環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類、茨城県:絶滅危惧Ⅰ類)、サンショウモ(環境省:絶滅危惧Ⅱ類、茨城県:絶滅危惧Ⅰ類)、イヌタヌキモ(環境省:準絶滅危惧、茨城県:絶滅危惧Ⅰ類)、シャジクモ(環境省、茨城県とも絶滅危惧Ⅱ類)など、多くの希少な水草も生育していました。

宍塚の自然と歴史の会では、2004年に東京大学と共同で水質の改善や当時大繁茂していたハスの抑制による水草相の回復などを目的に、池の水を落水する「池干し」を行いました。
その際に水槽にみられるオニバス水草の種子などを含んでいると思われる底土を採取し、ふれあい農園わきに大型の水槽を並べ水草の系統保全に取り組んでいます。
池干し後、大池内では期待していたような豊かな水草相は戻りませんでしたが、水槽内の土壌からはオニバスやジュンサイ(茨城県:絶滅危惧Ⅰ類)、クロモ(茨城県:絶滅危惧Ⅱ類)など多くの水草が発生し、アメリカザリガニの食害も受けないため、現在まで継続して生育が見られます。

一方、これまでは天水とときおりの井戸からの補水による水槽の水位の維持が近年の夏場の酷暑と少雨で難しくなり、昨年は井戸の故障もあり、大池の希少な水草の系統を絶やさないために、大池の水草を代表する「オニバス」と「ジュンサイ」について、その一部を昨年8月から「茨城県霞ケ浦環境科学センター(土浦市沖宿)」、「茨城県自然博物館(坂東市大崎)」、「(株)奥村組技術研究所(つくば市大砂)」の3か所に域外保全しています。

9月の土曜談話会(9 月21 日開催)では、このうち霞ケ浦環境科学センターと奥村組技術研究所に「里子」に出している大池のオニバスとジュンサイの状況を見学に行きました(総勢9名)。霞ヶ浦環境科学センター、奥村組ともに、ジュンサイは順調に生育しているように見えましたが、オニバスは宍塚の保全水槽と比べると貧弱な生育で、奥村組では全く見られない状態でした。
両所とも、オニバスの芽生えはみられたものの、浮葉を展開しだすと消えてしまう、とのこと、何者かによる食害や移植時に混生していたシャジクモなどの繁茂による生育阻害などが要因として考えられました。
今後とも、保全先とは緊密に連絡を取り合いながら、安定した域外保全の方法を確立するとともに、将来的には宍塚の保全水槽を含めた4者で相互に系統の保全を図っていきたいと考えています。

 嶺田拓也




2024年9月9日月曜日

7月27日「蟻」阿部浩さん(筑波蟻類蜂類研究所)



 阿部浩さんの強烈な記憶は、五斗蒔谷津の湿地でハラクシケアリの生態を地道に観察・調査され続けておられたことです。今回の談話会、最も身近な昆虫である「あり」、生態学的にはほとんど解明されていない、種名も整理半ばであることを知りました。アリの生きざまを知ることの大変さを、例えばクロナガアリでは冬3メートルもの深さに潜る、3mの深さを掘ることの難しさもリアルな体験として伝わってきました。モグラの巣などで行う、巣穴の形を知るための石膏流し、アリの巣では空気が漏れないので行えないそうです。アミメアリは巣をつくらず雄がいないなど、種ごとの説明もあったほか、宍塚で確認されたアリのリストも知ることができました。



【参加者の感想】


 毎月行われている土曜談話会、その道で長く携わってこられた方が講師。毎回新鮮な話が満載、贅沢な時間です。その割に参加者が少ないのが極めて残念、もったいない。(及川ひろみ)


家の中にも入って来るし、自宅の庭でも里山でも、最もたくさん見られる生き物が蟻ではないかと思いますが、観察会には参加してきたものの、自分から熱心に蟻を見たことがありませんでした。

生態系の中での役割は分解者。巣を持たない種類、巣が樹上、竹の中や、わずかな隙間など、巣もいろいろで、他の種類の働き蟻を奴隷にして自分の巣の子どもたちの世話をさせるサムライ蟻など、暮らし方も多様であることがわかりました。一つの単位が万を超える種類から、100以上と、少ない種類もあり、一口に蟻といっても 千差万別です。腹部?の別れ方から大きく2つの種類にわけられることも知ることができました。

 阿部浩さんは高校時代の生物部で蜜蜂を飼育したことから社会性昆虫に興味を持ち、蟻の研究を数十年にわたって続けてこられたということでした。宍塚の里山を子どもや若い人たちが面白いことにであえる場として保全していきたいですね。(阿部きよ子)





2024年6月15日「生物多様性の恩恵 水田の生き物」森本信生さん

【 内容】

・水田には、イネと雑草が生え、水もある。そして、それを食べ、田んぼを生活の場所とする生きものが出現する。


・水田には、絶滅が危惧されるような希少な生物がたくさん見られる。


・日本列島は、気候や地誌的な特徴も有り、世界でも生物豊かな地域である。


・水田をとりまく里山も、近年大きな変化が生じている。


・農地は、食料生産の場だけではなく、様々な役割が期待される。


・食料は食塩以外すべて生き物由来。様々な種類を食べることにより、豊かな食生活がある。



【参加者の感想】


たたき台として提供されるプレゼンテーションは毎回素晴らしい。参加者の世界は一層広がり、広がりは発表者の学の楽しさで満たされていく。(中略)以前の懇話会で発表された方の忘れられない言葉「私の専門ではありませんが、哲学的に申しますと、植物・昆虫・動物・微生物その他、どの分野に生じている問題もすべて私たち人間自身に戻ってくると申します」とおっしゃってプレゼンテーションを終えられたことを印象深く覚えています。(中略)多様性の暗い面の問題は、誰かさんの個人的気分の問題とは隔絶した重要な問題です。懇話会で聞いた、Oさんをはじめとする具体的で地道な取り組みのお話は一服の清涼剤のように深く心に響きました。アリガタカッタデス。                    江原栄治


水田を例に、益虫、害虫どちらともいえない多数の生き物の存在、また人の食べ物がみな生物であることなどが具体的に示され、わかりやすかったです。Sさんから出された、子どもたちに、カヤネズミを保全し、セイタカアワダチソウを抜く意味をどう説明すれば、の疑問は、とても大切なことだと思いました。生物間のつながりの複雑さを実感することが困難な中、生物多様性の危機を、多くの人たちにどう知らせるか。人間の利益の面からわかる説明として、食べ物だけでなく、生存にかかせない薬品も、目に見えない菌類も含む、生物由来であることを、わかりやすく言えるといいかな、などと考えてみたりしたけれど、人間本位で語ることそのものが、おこがましいことにも思えます。                  (A)







1月18日 「段ボールコンポストでSDGs」田上公恵さん

  今日は飛び入りでの参加、途中退室となりましたが、参加してよかったです! 田上先生や宍塚の先生方ともお話させていただき、大変貴重なひと時になりました。 実は、1 年程前につくば市配布の段ボールコンポストを受け取りに行ったまま、設置場所に悩み放置していた所でした。 匂いや虫カビの...