阿部浩さんの強烈な記憶は、五斗蒔谷津の湿地でハラクシケアリの生態を地道に観察・調査され続けておられたことです。今回の談話会、最も身近な昆虫である「あり」、生態学的にはほとんど解明されていない、種名も整理半ばであることを知りました。アリの生きざまを知ることの大変さを、例えばクロナガアリでは冬3メートルもの深さに潜る、3mの深さを掘ることの難しさもリアルな体験として伝わってきました。モグラの巣などで行う、巣穴の形を知るための石膏流し、アリの巣では空気が漏れないので行えないそうです。アミメアリは巣をつくらず雄がいないなど、種ごとの説明もあったほか、宍塚で確認されたアリのリストも知ることができました。
【参加者の感想】
毎月行われている土曜談話会、その道で長く携わってこられた方が講師。毎回新鮮な話が満載、贅沢な時間です。その割に参加者が少ないのが極めて残念、もったいない。(及川ひろみ)
家の中にも入って来るし、自宅の庭でも里山でも、最もたくさん見られる生き物が蟻ではないかと思いますが、観察会には参加してきたものの、自分から熱心に蟻を見たことがありませんでした。
生態系の中での役割は分解者。巣を持たない種類、巣が樹上、竹の中や、わずかな隙間など、巣もいろいろで、他の種類の働き蟻を奴隷にして自分の巣の子どもたちの世話をさせるサムライ蟻など、暮らし方も多様であることがわかりました。一つの単位が万を超える種類から、100以上と、少ない種類もあり、一口に蟻といっても 千差万別です。腹部?の別れ方から大きく2つの種類にわけられることも知ることができました。
阿部浩さんは高校時代の生物部で蜜蜂を飼育したことから社会性昆虫に興味を持ち、蟻の研究を数十年にわたって続けてこられたということでした。宍塚の里山を子どもや若い人たちが面白いことにであえる場として保全していきたいですね。(阿部きよ子)