2025年2月22日土曜日

2/22 土曜談話会 「農業・有機・自然農法の疑問、質問に答えます」

 2 月 22 日に宍塚公民館(Zoom 併用)で土曜談話会を開催しました。 

 農業関係の研究機関にお勤めのMineさんに来ていただき、有機農業や自然農に関する疑問に、科学的知見から答えていただきました。 

 事前に会員から農や農業にかかわる質問や疑問を募集したところ、6名から「イネと菌根菌との共生条件」「土つくりについて」「ダイズの青立ちの原因」「家庭菜園での雑草対策」「無農薬栽培下での病害虫対策」「自然農法と慣行農法との違い」「今後の農業の方向性」など多岐にわたる疑問・質問が集まりました。当日解説された質問についていくつか紹介します。 

Q.団粒構造はどうしてできるのですか。 

A. 団粒構造とは土壌粒子が小粒の集合体を形成している構造です。だんご状になった大小の土の塊がバランス良く混ざり合い、適度な隙間が多くなります。団粒構造になると土が柔らかくなり、通気性・排水性・保水性が改善され、有用微生物が多く繁殖し、作物が生育しやすくなります。団粒は、粘土や砂などの粒子と落ち葉や根、死骸などの動植物や動物由来の有機物によって構成され、有機物を分解する微生物が団粒化に大きく貢献しています。 

Q. 鉄還元窒素固定菌を活用した環境調和型農業の可能性は? 

A. 鉄還元窒素固定菌(Deltaproteobacteria 綱細菌)とは、メタゲノム・トランスクリプトーム解析により、2023 年に東大妹尾教授らのグループによって発見された水田土壌において窒素固定を駆動しているキープレーヤーです。日本の土壌には鉄が多く含まれており、これまでの自然・有機水稲など無施肥下での窒素供給や収量が説明できる可能性があります。 

Q. ダイズ栽培における「青立ち」の原因は? 

A. 「青立ち」とは、サヤが成熟し収穫期を迎えたダイズで、茎や葉の成熟が遅れ緑色のままの状態のことで、収穫したダイズの品質を著しく低下させてしまいます。青立ちの原因は、登熟期間の高温、土壌の乾燥もしくは乾燥後の灌水とされます。 

Mineさん(五斗蒔5月号から)


(土曜談話会の感想) 

 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の嶺田拓也さんに来ていただき、有機農業や自然農に関する疑問に、科学的知見から答えていただきました。 

 土づくりの基本や家庭菜園での不思議などを解決していただきとても貴重な時間を過ごせました。 

 特に、団粒構造のできる科学的なメカニズムや、鉄還元性窒素固定による窒素分の補給を教えていただき、里山での持続可能な農を作っていく一助になりました。 

 最後には日本の農業の未来といった大きいテーマにも、快くお話しいただき、一人一人が小さな畑を持って、農業ではなく小さな農に関わる未来へ期待を抱きました。 

宍塚からも里山の保全や小さな農のスタイルを茨城県、日本中、世界へと広げられるように活動・発信していきたいと思います。 

最後になりますが、多くの文献を元にわかりやすいご指導を頂き、沢山の議論をしていただきありがとうございます。

Suzuさん


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